技術書典に感じる、リソース不足と忖度

※追記:2019/10/2
本記事に関する一連のツイートをまとめました。
便宜上のセルフまとめですが、ご自由に編集頂いて構いません。
技術書典に感じる、リソース不足と忖度 - Togetter


まずお伝えしますと、本記事は「技術書典運営はもっと稼いでくれ!!!!!」というのが最大の趣旨で、その次は「サークル主のみんな!!!イベント協力頼むぞ!!!」と宣伝したい気持ち若干な感じです。

あと自分語りが多いです。バックグラウンドに基づく、考え方のアルゴリズムって、主張とは切っても切り離せないと思うので。

更に趣旨を追記(2019/9/26 17:30)

この2つを念頭に置いてもらってから読んでもらわないと、趣旨が伝わらないかもっす。
https://twitter.com/1060work/status/1177117944859332608?s=20
https://twitter.com/1060work/status/1177118153635028992?s=20

マックの女子高生的論法になってしまいますが、僕は運営について、いろんな意見や噂を耳にすることが何度もあったんです。現在進行系でも、Twitterには出てこない意見を見ています。
それを表明するか、運営とのやり取りで済ませたほうが良いと判断するかは、もちろんその人の考えによります。

でも、もっとその意見オープン化していきませんか?と多分、自分は言いたいんだ。
自分自身が全部具体例を書いているわけでもないので、アレなんですけど、その取っ掛かりとしての、この投稿。

やっぱり自分の具体例が必要な気がしてきましたが、難しいですね、書き方。
自分一人の問題でないことが多すぎるので、書くにしても、ちょっと時間がかかります。みんなもそうなんだろうけど。

たださ、この閉鎖的、閉塞感のある空気なんとかならない?って思うんですよ。

話の発端は、誰がどう見てもリソースが不足している技術書典にある(そして僕は仕組み化すべきと思っている)わけですけど、趣旨としては、運営ではなく、意見があるけど公表しないサークル主のみんなへの問題提起なのかな。でもこれは、価値観の違いも、自分自身やみんなのリソースの不足もあるんでしょうねーって気がしてきました。

自分について

Excelのチャラい方です。立ち読み会というイベントもやってます。
重ねて言いますが、今回の話、わりと慎重さが求められる話題で、バックグラウンドに説明がいると思うんですね。だからまずは自己紹介から。

仕事

主に、業務改善とマーケティング・リサーチを軸に仕事をしています。生きるためにエンジニアをすることもありますが、基本的にはコンサルタントとか、アナリストと言ったほうが近い人種です。

技術的解決とマネジメント的解決の両面から、物事を仕組み化したり、一般化することを思想信条としています。ですので、技術書典のメインストリームである、技術者・オタク文化・創作畑のみなさんとは、少々考え方が異なるかもしれません。

同人歴

同人活動を始めたのは2018年春、「技術書典4」からです。関わった同人誌は以下の通り。

  • Excel働き方改革(仮)(執筆・ディレクション
  • バックオフィス問題解決大全 ~神Excel働き方改革~(執筆・ディレクション
    • (単著)
  • Rおじさん合同誌(寄稿・表紙・ディレクション
  • Rおじさん合同誌 vol.2(寄稿・ディレクション
    • たこ焼きとモテとソースの陰謀
  • 完全謝罪マニュアル(寄稿)
    • 謝罪メールの書き方
  • Alchemist vol.1(寄稿)
  • Alchemist vol.2(寄稿)
    • h.nayutaの仮想通貨レビュー
    • 仮想通貨を支えるコミュニティ
  • OneStop転職(寄稿)
    • 企業の素性を調べよう
    • 就活ファッションについての持論と考察
    • 今、G.K.が熱い!
    • 二以上事業所勤務届

僕のことをちょっと知ってる人は「原稿書きたくないwww」って言ってるイメージ強いと思うんですけど、意外と書いてます。
宣伝だけど、神Excelシリーズは「バックオフィス問題解決マニュアル」として、ご存知、インプレスR&D「技術の泉」シリーズから発売されます。人生変わりかけてます。

勉強会歴

学術系のコミュニティには2015年頃から、技術系コミュニティには2017年頃から顔を出し始め、仕事もプライベートも、実質、社会復帰しました。
立ち読み会以前にも、2017年の夏頃から、技術系勉強会の主催を始めています。こちらも非営利で赤字運営です。最近休んでますけど。

何が言いたいかって言うと、技術書典とか技術コミュニティのおかげで人生が充実しているし、感謝してるんですよ。

常々言ってる、自分みたいないい加減で、勉強する気あんだかないんだかわかんないような奴らを歓迎したいってのも、そういうアレです。まあ、自分はそんな感じの人間性ってことで。

サークルの運営状況

これも一応ね。基本ワンオペ&大赤字です。

特にRおじさん合同誌については、調子に乗って刷りすぎ問題はありますが、あれは話題作り*1の側面もありました。関係者への配布分や、技術書典4でのバブルを考えると、200刷ろうと思うのは、そこまでおかしな発想ではありません。A5で600刷っても、200刷っても、5万は変わりません。大変な痛手ではありましたが、印刷費のみが、うちのサークルの赤字の原因ではないのです。

うちのサークルで最も掛かっているのが、同人誌へご協力頂いた方への報酬や謝礼等です。デザイナーさんにお支払いする報酬や、寄稿頂いた方への飲み代、新人執筆者の面倒を見るのに掛かるちょっとした諸経費が挙げられます。自分の観測範囲で言えば、相場の1.5倍~3倍程度、何らかの形でお支払い・還元・協力しています。これは見栄ではなく、自分が適正と思う値付けをしているだけなので、後悔はありませんし、今後も削る気は一切ありません。

もともとパワーを持て余している(けれども、仕切ったり、前に出るのが面倒なタイプの)執筆者の方には誠意として受け取っていただき、新人のデザイナー・執筆者の方には自信を付けてもらいたいと思っています。そして、ちゃんと僕が出世したときに、売れてなくて危なっかしい、今の自分に協力してくれたみんなと協業したい。*2

1060WORK(ナユタワーク)は、そんな僕の考えを色濃く反映した、個人サークルです。*3

まあ、相当変な奴かもしれないけど、自分が火傷しても、他人や他所様のイベントを貶めるような人間ではないです。ということを、センシティブなことを書く前に、自己申告しておきたかった。

技術書典について

さて、ここからが本題です。

技術書典は運営に掛かるお金・人手・時間、あらゆるリソースが十分でない、それはよく分かります。ただ、それなら運営を商業化して欲しいなと思います。

技術書典が技術コミュニティへの貢献を目的としており、営利目的からは程遠い懐事情で続けているであろうことは、痛いほど分かります。熱意がなければとてもできないことでしょう。

でも、運営にリソースが割けない状況では、当事者が望まずとも、必ず忖度が起こります。
深く、健全な議論がされないことは、不幸なことではないでしょうか。

技術書典に感じる不透明さ

例えば、「ジャンルにより当選率は変わらない」という公式の発言、僕はあれを信じています。
でも、売上部数によって当選率が変わることはあるんじゃないかと、勝手に思っています。だって、もし大手サークルさんが落ちて、委託にして配置がコントロールできなくなったら、オペレーションが大変じゃないですか。
そして、万一そうであるなら、それは公言するのが誠実だと思います。当選したときに、お金出してますからね。パトロン枠にするかどうかとか、やっぱり迷います。売上的には弱小~中堅サークルなので。

もちろんこれは僕の勝手な憶測で、読者の皆さんには鵜呑みにしてほしくないと思います。でも、自分以外にも、「公式はランダムだと言っているけど、本当はジャンルや売上によって当選率が違うのでは?」という憶測をされている方は多数いらっしゃいます。

僕のように、堂々と言わないだけです。落選したくないから。

実際にどうであるのかは、大した問題ではないと思います。でも、ちょっと疑心暗鬼になっているサークルが事実としてあり、技術書典に対して、言いたいことが言えなくなっている状況には、問題があると思います。

不透明さは、リソースの不足から生まれる

僕は悪目立ちをする方なので、運営の方から注意を受けたことが2回あります。もちろん、明らかに規約違反であることをしているわけではなく、解釈違いの範疇で、事前に「ちょっとストップそれはやめといて」という注意を受けた感じです。

これについては、「あーごめんごめんw公式的にはいろいろ大変だよね、面倒事増やしてごめんねw」って感じです。軽い感じで申し訳ないですけど、逆に恨んだり不愉快とかそういうのではないです。

でも、先方からきちんとした形で通知がされるならともかく、自分だけ目立つ注意をされてしまう状況には、少し困っています。

周りのサークルさんから「あいつには近寄らんどこ」と思われては困りますし、万一、僕に関わった人が、どこかのコミュニティから距離を置かれるなど、間接的に不利益を被るような状況になったとしたら、それは申し訳ないからです。*4

迷惑行為の通報についても、技術書典運営が窓口を設置したのはとても良い試みだと思います。でも、きちんと事実確認がされているのかについては、やっぱり疑問です。だって、リソース足りてないじゃん?

要するに、リソースが不足すると、どうしても悪目立ちするやつだけ注意することになります。これって参加者全体にとって、疑心暗鬼な気持ちとか、萎縮、忖度に繋がるんですよ。

実際、「なゆたさんが注意を受けたのに、何であのサークルは何も言われないの?落選したのってペナルティじゃないの?」と言われたことがあります。

重ねて言いますが、自分が注意された憂さ晴らしとかで書いているわけではないですし、僕自身は落選も注意された件とは関係なさそうだなと思っています。
先も言ったとおり、「売上数は実は当選率関係あるんじゃね?うちはそんな売れてねえししゃーねえな、肝心なときだけ受かればいいや。っていうか、技術書典に頼りすぎず、自分の力で売ってかなきゃな」っていうノリです。

自分は悪目立ちすることはやめられないので、せめて明るく「また怒られたwごめんね気を付けるわ!でも、この部分については運営側の落ち度だから、それは認識してな!技術書典や運営のことは変わらず好きでいるよ」ってスタンスでいたいなあと思ってます。

そして、技術書典にはリソースに十分余裕を持ってもらって、参加者が楽しく前向きな気持ちで参加できるよう、公平な運営をしてもらいたいなと思います。

商業とは

一旦、話題が逸れますが。僕は起業をしており、同人誌の名義を会社にすることがあります。会社名義で本を作ることがある以上、会社の事業内容には出版を含んでいます。

では、僕の会社から出される同人誌は、商業誌なのでしょうか?

一般的には、誰がどう見ても、商業誌ではないと思います。
フリーランスで活動している皆さんなら、一度は計算されたことがあると思いますが、ほとんどの方は自分の時給に対し、元が取れないことをわかって活動していると思います。営利を最大の目的として出版をしている会社(出版社)を通して出版した書籍を、商業誌と呼ぶのが分かりやすいように思っています。*5

さて、話題を戻します。そんな風に、なかなか稼げない同人活動ではありますが、元は取れなくても、購入者から、いくらかの代金を頂いているサークルがほとんどと思います。趣味や自己研鑽の活動に、価値が発生し、お金を頂く。これは商行為ではないのでしょうか?
僕は同人誌を「販売」しているつもりですし、同人活動を「商行為」として行っているつもりです。
赤字ですし、営利のみが最大の目的というわけでもないので、営利目的とは言えないとも思っているわけですけど。

このような発言をすると、技術書典では企業出展として扱われてしまうのでしょうか?だとしたら、僕にはそんなお金はありません。逆に、「同人誌を趣味で頒布しています」という建前で、もっと稼いでいる方はいらっしゃると思いますし、線引きがよくわかりません。

パンドラの箱を開けるような話をしているのは、分かってるんですよ。でもさ、みんな確定申告もしてるし、オリジナルじゃん
なんていうのかな、細かいことに突っかかって、規則でガチガチにしようってんじゃないんですよ。
でもさ、技術書典は、もう少しオープンに、分かりやすくやったほうが、運営がスムーズにいく段階に来てるんじゃないかな、と思います。

ともかく、技術書典に出てらっしゃるサークルさんは、時給には全く満たない、技術への貢献を目的としているとしても、趣味としては結構稼いでいる方がいらっしゃるんじゃないかなと思います。
技術書典運営が商業目的で稼いでるとは思ってないけど、中で活動してるサークルが、僕の言葉で言えば商業的に稼いでるんだから、技術書典運営は技術系同人誌のお祭りとしてきちんと商業化して、スペースの広さやサークルチケットの数によって金額プランを決めるとかアリなんじゃね?というご提案でした。

さいごに

今回の記事は、建設的に議論を進めるための一意見として、皆さんにも考えてもらえたらなあと思って書きました。気持ち的にも、よくわかんねーな、なんか腑に落ちないんだよなあ、くらいのテンションです。

なんとなく、技術者畑の皆さんとコミュニケーション文化が違うのは感じていますが、リスペクトを持って書いた記事です。
うっかり煽ったり、人の気分を害する言葉選びをしてしまうことは、誰にでも、自分にもあります。でも、お互い不幸になるだけですから、なるべくそういうのは避けていきましょう。

お互いの文化を尊重しながら、技術書典に思い入れのある者同士で*6、皆さんと建設的な意見交換ができたら嬉しいなあと思います。

追記(2019/9/26 1:30)

補足

表現を変えてみました。
あまり具体化はできませんでしたが、本文よりは分かりやすくしたつもりです。

まず、真偽はともかく、技術書典には「当落が完全ランダムではないのでは」という噂があります。自分も一部については、そう疑いを持っています。*7

また、自分は運営が仕組み化されていないように思う事例を経験しています。それについて、直接経験した自分以上に、疑問を持っているサークルが複数ありました。

さらに言えば、当落の基準がはっきりしないと感じている以上は、運営について批判的なことは言いづらいと感じているサークルも複数あります。

これらの噂や疑問の存在*8については憶測ではなく、僕は何度もこの手の話を耳にしています。
もちろん、どこでその話を聞いたのか、どのような内容であったのか、具体的な話をするわけにはいかないので、3つとも証明はできません。でも、事実として、噂や疑問そのものは存在します。

重ねて言いますが、噂の真偽は知りませんし、個人的には真偽にはそんなに興味もないです。そういった噂や疑問が発生する状況はよろしくないのでは、という立場です。


噂や疑問が生まれる発端は、ちょっとした不公平感にあると思っています。

この不公平感は、技術書典の運営が少人数で、属人的に行われていることが原因であるように思います。規則・ポリシーがより明文化され、ちょっとしたトラブルの数々について、組織として対応できる状況にあれば、これらの不公平は感じなかっただろうなと、話題の当事者にもなった自分は思いました。
この部分は、自分の考え方です。周りの方がどう感じるかはわかりません。


とはいえ、技術書典は急激に発展し、手探りのまま運営がされていることについては、仕方ない部分があると思うのです。このこと自体は問題とは思いません。全然、失敗しながら挑戦していってもらいたいです。最大の問題は、話題に上げづらい類の疑問や意見があることだと思っています。

1つ目は、堂々巡りにはなりますが、技術書典の当落基準。この話はもういいでしょう。

2つ目は、技術書典において、「商業」の概念について深追いすることが、半ばタブーとなっていることも影響しているのではと思います。僕は広い意味で「商業」を話題に上げることで、より良い選択肢を含む議論ができるようになると思っています。

例えば、最大の問題である当落基準について、不透明感を感じづらい仕組みを作ることができると考えているからです。本当に不公平でないかは問題ではなく、参加者が納得する仕組みは、金銭によってコントロール可能と思うからです。
あとは単純に、「商業」に目を向けた工夫をすることで、もっと技術書典が潤ってくれれば、コアメンバーが技術書典に割く労力が増えて、仕組みを作る時間もできるんじゃないかなと。

あれ、この部分は逆かもしんないな。技術書典に潤ってもらって、コアメンバーに仕組みを作ることを重視してもらって、その先にサークル規模によるチケット代の工夫とかいろんな施策がある的な考えかな、自分は。
まあ今思いつくのはこんなところです。

蛇足

率直なところ、以前から、技術書典のメインストリームである技術者の皆さんの多くとは、議論や意見交換の仕方そのものについても、考え方が違うように感じています。

僕はすぐに落とし所が見つからなくても、議論して良いと思っています。お互いの感情を刺激するような表現は避けながらも、なるべくゼロベースの発想で、意見を出し合うのが最善であるというのが思想信条です。自分の意見が最善とは思っていないし、正直、正確さが求められるような話題について言及したり、自分が結論を考え出すことは向いていないとすら思っています。
おそらく、この部分が違う。人によって無責任・無意味と思う方もいるのかなーと思っています。

もしかしたら、僕が忖度と感じているものは、落とし所が見つかっていない課題に対し、どう言及するか、しないかという、スタンスの違いなのかもしれません。

でも、僕は今、この話題を議論の俎上に載せることは有益であると思って、投稿しました。なぜかと言われると、答えはすぐに出てきませんが、そのほうが良い意見が出てきて、物事が発展すると思って発言しています。
自分の気持ちを表現すると、運営に物申したいとか、誰かと議論がしたいという気持ちはあまり強くないです。ただ、自分が口火を切って、みんなが意見を出すのを聞きたいと思っている、そしてもっと有益な意見が出てくるのを待ちたい、そのときは何かの形で応援したい、という気持ちが近いです。

…いかがでしょう?
今いま、この話題について考えるのに飽きてしまったので、一旦、考えるのをやめようと思います。でもまたすぐに考えて、書き直したり、追記すると思います。その時は、その旨、明記します。

*1:当時、最低150は売れると思っていたので、めちゃくちゃ落ち込みましたが

*2:その先に、自分が生きやすい世界を作るために、みんながもっと楽して稼いで、好きなことだけして、好き勝手言って生きてけるよう、世の中の価値観を変革したいっていう野望がある。

*3:人に投資する考え方は、曽祖父が資産家、祖父が美術商であったところから来ているかもしれません。

*4:どこかのコミュニティを想定して書いているのではなく、技術書典から直接不利益を被ることはないにしても、ということが言いたいのです。

*5:厳密には、ISBNを取得しているか否かが商業・同人の定義と思っていますが、心情的に商業と感じるラインは先の定義のほうが妥当かなと思います。

*6:ない方の意見も聞いてみたいですが

*7:念の為、自分はオペレーション上、売上部数の多いサークルについては、そういった施策はあって良いんじゃないかと思っています。ただし、見える化すべきという立場です。

*8:真偽ではなく